コモンカスベ

海産物情報

コモンカスベ 魚情報

コモンカスベの概要

コモンカスベ(Common Skate、学名:Dipturus batis)は、軟骨魚綱エイ目ガンギエイ科に属するエイの一種です。その名の通り、比較的一般的によく見られるカスベの仲間ですが、近年は漁獲量の減少から、一部地域では絶滅危惧種として扱われることもあります。大型のエイであり、成熟すると体盤幅は1メートルを超えることも珍しくありません。全身は茶褐色から灰褐色で、腹側は白色をしています。皮膚はザラザラしており、特に背中には棘状の突起が並んでいます。尾は長く、その基部には2~3本の毒棘を持つことがありますので、取り扱いには注意が必要です。生息域は北東大西洋の比較的浅い海底で、砂泥底を好み、小魚や甲殻類、貝類などを捕食します。一般的に食用とされるのは、主にその肉と、一部地域ではヒレ(「エイヒレ」として流通するものとは異なる場合が多い)です。淡白な白身魚であり、独特の食感と風味を持っています。

コモンカスベの調理法

コモンカスベは、その独特の風味と食感を活かした様々な調理法で楽しむことができます。主に食用とされるのは、背肉部分です。エイの仲間はアンモニア臭がすることがありますが、コモンカスベは比較的臭みが少なく、下処理を丁寧に行うことで、その旨味を最大限に引き出すことができます。

下処理

コモンカスベを調理する上で最も重要なのは、下処理です。まず、鱗がないため、皮を剥ぎ取るのが一般的です。皮を剥いだ後、流水でよく洗い、血合いなどを丁寧に取り除きます。次に、アンモニア臭を抜くために、酢水や日本酒にしばらく浸けるのが効果的です。酢水に浸ける場合は、水1リットルに対して大さじ2~3杯程度の酢を目安にします。浸けすぎると風味が損なわれる可能性があるので、15分~30分程度が目安です。日本酒に浸ける場合は、全体が浸かるようにし、こちらも30分~1時間程度置くと良いでしょう。その後、キッチンペーパーでしっかりと水分を拭き取ることが、臭みを残さないための重要なポイントです。

代表的な調理法

  • 煮付け:コモンカスベの代表的な調理法の一つです。下処理を終えた身を、醤油、みりん、砂糖、酒、生姜などを合わせた煮汁でじっくりと煮込みます。エイ特有のゼラチン質が溶け出し、プルプルとした食感と上品な旨味が楽しめます。生姜をたっぷり入れることで、臭み消しと風味付けを同時に行えます。
  • 唐揚げ:下処理をした身に、醤油、酒、生姜などで下味をつけ、片栗粉をまぶしてカラッと揚げます。外はカリッと、中はジューシーで、エイの淡白な白身と相性の良い調理法です。レモンを絞ったり、おろしポン酢でいただくのもおすすめです。
  • 刺身(ルイベ):新鮮なコモンカスベであれば、刺身でいただくことも可能です。ただし、エイの仲間は寄生虫のリスクも考慮し、冷凍(ルイベ)にしてから刺身にするのが一般的です。ルイベにすることで、寄生虫のリスクを低減し、独特のシャリシャリとした食感を楽しむことができます。新鮮なものを選ぶこと、そして信頼できるお店で購入することが絶対条件です。
  • エイヒレ(加工品):一般的に「エイヒレ」として流通しているものは、コモンカスベとは異なる種類のエイ(例えばアカエイなど)であることが多いですが、コモンカスベのヒレも同様に炙って食べることができます。ただし、コモンカスベのヒレは身に比べて食用としてはあまり一般的ではありません。
  • アクアパッツァ:白身魚として、トマトやアサリ、ハーブなどと一緒に煮込むアクアパッツァにも適しています。淡白な身が魚介の旨味を吸い込み、上品な味わいに仕上がります。

部位による使い分け

コモンカスベは、身の部分が主に食用とされます。ゼラチン質が多く、加熱するとプルプルとした食感になるのが特徴です。この食感は、煮付けや唐揚げで特に活かされます。ヒレの部分も食べられることがありますが、一般的には身の部分ほど流通・消費されていません。

コモンカスベのレビュー・口コミ

コモンカスベは、その独特の食感と淡白な味わいから、知る人ぞ知る美味しい魚として、一部の食通の間で人気があります。しかし、一般的なスーパーではあまり見かけないため、その存在を知らないという人も少なくありません。

食感に関する口コミ

「プルプルしていて、コラーゲンたっぷりの食感がたまらない」「ゼラチン質で、煮るとトロトロになるのが良い」「エイ特有の食感にハマった」「歯ごたえが独特で、初めて食べた時は驚いた」といった声が多く聞かれます。特に煮付けにした際の、ゼラチン質が溶け出したプルプルとした食感は、コモンカスベならではの魅力として挙げられています。

風味に関する口コミ

「淡白で上品な白身魚」「臭みはなく、繊細な旨味がある」「下処理をしっかりすれば、どんな料理にも合う」「生姜との相性が抜群」といった意見があります。一方で、「下処理が甘いとアンモニア臭が気になる」という声も一部見られます。このことから、コモンカスベを美味しく食べるためには、丁寧な下処理が不可欠であることが伺えます。

調理法に関する口コミ

「煮付けにすると、身がホロホロとほぐれて美味しい」「唐揚げにすると、外はカリッ、中はジューシーでご飯が進む」「ルイベで食べるのが最高。シャリシャリとした食感がクセになる」など、様々な調理法で楽しまれている様子が分かります。特に、煮付けと唐揚げは定番の調理法として人気が高いようです。ルイベについては、新鮮さや調理法に注意が必要ですが、その独特の食感を求めるファンもいるようです。

入手性に関する口コミ

「スーパーではほとんど見かけない」「魚屋さんでしか買えないことが多い」「新鮮なものを手に入れるのは少し難しい」といった声が多く、比較的一般的な魚ではないことが伺えます。そのため、「珍しい魚なので、これを食べるとちょっとした贅沢気分になる」「特別な日に食べたい魚」といった感想も見られます。

総評

コモンカスベは、その独特のゼラチン質の食感と淡白で上品な旨味が魅力の魚です。丁寧な下処理を行うことで、アンモニア臭を抑え、その美味しさを最大限に引き出すことができます。煮付けや唐揚げといった定番の調理法はもちろん、新鮮であればルイベで独特の食感を楽しむことも可能です。スーパーではあまり見かけないものの、魚屋さんなどで手に入れることができれば、ぜひ一度味わってみる価値のある魚と言えるでしょう。その魅力を理解し、適切に調理することで、普段とは一味違う食体験をすることができます。